概要
ステロイドの定義
日本では、ステロイドは「炎症を速やかにかつ確実に鎮静させ、患者の苦痛を取り除ける薬剤であり、有効性と安全性を十分に評価されているものはステロイドの他にはない」と間違った評価をされています。
「いかに副作用の出ないレベルで発疹をコントロールしていくかが重要で、治療のゴールは症状を抑えることを目指す」とされています。
つまり、アトピーはステロイドを使って症状を抑え続ける病気と勘違いをしているのです。
ステロイドってどんなもの?
ステロイドは副腎皮質ホルモンが持っている炎症を抑制するという働きに着眼して、化学的にコレステロールから合成された薬です。
自己免疫疾患やアレルギー性疾患など、どんな症状にも魔法の薬であるかのように使われるようになりました。
それは痛み、腫れ、熱などを簡単に抑えこんでしまうからです。
しかし、痛み、腫れ、熱は身体の持っている生体反応で自然治癒させていくための過程では避けられない反応です。
身近な所では虫さされの痒み止めや目薬、点鼻薬、もちろんアトピー性皮膚炎にも使われます。
ステロイドの消炎効果はすごいですが、使用後にまた別の問題を引き起こしてしまいます。
ステロイドは副腎皮質ホルモンとは違い、コレステロール濃度が高いので組織内に残り、変性します。
残ったコレステロールはさらに酸化され、酸化コレステロールとなり組織に蓄積します。
酸化コレステロールは活性酸素の発生源となり逆に炎症を引き起こすことになります。
副腎皮質ホルモンは交感神経が働く日中や強いストレスを受けた時に分泌されます。
その為、ステロイドを使えば使うほど交感神経優位の状態になります。
血管は収縮し、血流障害が起こり、低体温になります。また、活性酸素を放出して組織障害を起こします。
交感神経を緊張させるので、長期間使用し続けてきた方ほど交感神経が緊張状態になります。
その為、副交感神経がコントロールしている身体の排泄器官の機能低下が起こり、アトピー症状の改善に影響が出ます。
また、症状を抑えているに過ぎないので、反対に老廃物の排泄ができなくなってしまいます。
ステロイドを使用すると一時的に良くなりますが、徐々に薬が効かなくなり、強い薬でなければ効かなくなってしまいます。
ステロイドの歴史
副腎皮質から分泌される副腎皮質ホルモンのうち、糖質コルチコイドは炎症を抑える力が非常に強いことが分かり、病気の治療に使われるようになりました。
リウマチの薬として使われたのが最初です。そして、より強力な抗炎症作用を持つ合成ステロイドが次々と開発されました。
ステロイドには免疫を抑える作用があるため、細菌や真菌の感染に弱くなります。
毛穴の細菌感染症であるニキビが起こりやすくなり、かびによる白癬(みずむし、たむし)、カンジダ症などが起こりやすくなります。
特にニキビは頻度が高いため、注意が必要です。
アトピーの患者さんで顔面に湿疹とニキビが両方見られる場合には、ステロイドを塗るとニキビが悪くなる、やめると湿疹が悪くなるという形になって、かなり悩まされることもあります。
ステロイドの副作用
ステロイドは、大きく分けると二つの副作用に分ける事が出来ます。
局所性副作用(体の部分的に出る副作用)
全身性副作用(全身に出る副作用)
局所性副作用というのは、ステロイド外用剤を使った所に、部分的に出る副作用のことです。
それに対し、全身性副作用というのは、その名の通り全身にわたって起きる副作用のことです。
全身性副作用は肌からステロイドが吸収され、ステロイドホルモンが血液に吸収される事で全身に運ばれ副作用を起こすものです。
局所性副作用や全身性副作用は具体的にどのようなものか
局所性副作用
・皮膚の萎縮
・毛細血管の拡張
・酒さ様皮膚炎
・口囲皮膚炎
・ステロイド紫斑
・ニキビ
・多毛
全身性副作用
・副腎皮質の機能が抑制、低下
・緑内障・白内障
・感染症
・糖尿病
・高血圧
・精神症状
・胃腸障害
・骨粗鬆症
・ムーンフェイス
・月経不順、無月経
リバウンド
大量に強いステロイドを長期にわたって使い続けた場合は、副腎皮質機能が元に戻らなくなり、使用を中止する事によって、以前よりもひどい炎症を起こしてしまう事があります。
副腎不全と似たような症状が現れることもあります。
ステロイド治療は対症療法なので、アトピー体質の改善なしに薬を使い続けると、薬が切れた時に今までよりも強く発疹が出てきてしまいます。
ステロイドを止めると抑制されていた免疫が再び正常に働きます。
体内に蓄積された酸化コレステロールを排出し始め、炎症やかゆみが引き起こされます。
皮フが委縮して薄くなり、血管壁がもろくなり免疫力が低下します。長期の服用は妊娠した場合には胎児への影響も出てくる可能性があります。
身体には有害な物質や老廃物が蓄積されると排泄を促す機能があります。
リバウンドは免疫が正常に働き、皮フの炎症やかゆみが再び起こり、加えて膿とともに酸化コレステロールを体外へ排出されていくのがリバウンドです。
当院のリバウンドの対処法とは!?
当院の治療では蓄積された薬毒(酸化コレステロール、酸化ステロイド、化学物質)を一気に解毒、分解せず、身体に負担がかからないように徐々に行っていきます。
一気に解毒、分解を行うとリバウンドが強く出てきてしまうからです。
また、血液、リンパ液の流れが悪い方ほどリバウンドが強く出てきやすい傾向にありますので、血液、リンパ液の流れの循環を良くした後に解毒、分解をしていくことでリバウンドは最小限に抑えられます。